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「アートとビジネス」を学ぼうと色々本を読んだり作品を見たりしているが、この本は良書だった。ほぼ10年前のリーマンショック後に出版されて、金融市場暴落とアートオークションの関係性、そしてビジネスに全く影響を受けないアートの本質的価値が書かれている。
筆者は音楽との対比で音楽は特に事前知識がなくとも好きに楽しめるのに、なぜ人は美術館でアート作品ではなく解説を読むのにより時間をかけるのか? 半年1年かけて作家が作った作品を20秒見ただけですぐに次を見に行ってしまうのか?と問題を提示する。
また、バブル期に日本の会社が世界の印象派作品を買い漁った歴史、それが今また中国や米国の長者が競り落とし自宅で見せびらかしていることを事実として冷静に評価しアートの商業的・社会的な価値も語っている。
あとがきに訳者がこの本が10年後にも読まれることを楽しみにしていると記しているが、確かに今改めて読むのにちょうどよかった。文字通りアート作品の時間と空間の広がりという価値を教えてくれた。